原作、脚本が「超高速!参勤交代」の土橋章宏
監督が「のぼうの城」「メゾン・ド・ヒミコ」の犬童一心
そして主演が「箱入り息子の恋」「未来のミライ」の星野源
さらに
高橋一生や高畑充希、及川光博、松重豊、西村まさ彦など豪華なキャストが登場する「引っ越し大名!」。
『#引っ越し大名!』を観た、各界の方からのコメントをご紹介‼️
🐌 #海野つなみ(漫画家)さんより
そのほかコメントはこちら👉https://t.co/8jQvgZUqIt pic.twitter.com/nIsmvVe96h
— 映画『引っ越し大名!』 (@hikkoshi_movie) September 6, 2019
時代劇の映画を観るということは今までほとんどなかったのですが、これは時代劇初心者にも足を踏み入れやすいのでは?と思い、観てきました。
もくじ
「引っ越し大名!」あらすじ

舞台は江戸時代前期。
お侍さんの時代ですね。
でも、江戸時代だからといってみんながみんな刀を腰にさしてブイブイ言わせていたわけではなく、武士のお家でも意外と地味に暮らしていた人も中にはいたと言われているんですって。
主人公の「片桐春之介」もそんな地味な青年。
人とコミュニケーションをとることが苦手だから、いつも書庫にこもって読書に明け暮れる毎日。
人はそんな晴之介を「かたつむり」と呼んでいました。
ところが、じみ~に暮らしていた晴之介に転機が!
晴之介のいる姫路藩の藩主「松平直矩(まつだいらなおのり)」が江戸幕府から国替えを命じられたんです。
度重なる国替えを命じられている直矩が今回言い渡されたのが、播磨姫路(現在の兵庫)から豊後日田(現在の大分)へ、というかなり長距離のお引越し。
しかも、今回は15万石の姫路から7万石の日田へという減封まで言い渡されてしまっているので、費用をできる限り削減しなければならない……。
今まで引越しを取り仕切っていた板倉重蔵はすでに亡くなってしまっている今、国替えをするにはどうすれば?!
と
困った姫路藩の家老、次席家老、勘定奉行などが頭を抱える中、目に留まったのが「かたつむり」こと片桐春之介でした。
本ばっかり読んでるし賢いよね?
うまいこと国替えする知恵とか持ってそうだよね?
ということで突然任命された春之介。
- お金ない!
- 知識もない!!
- 人を束ねるとかしたことない!!!
無理難題を突きつけられた春之介は
幼馴染の刀の名手の鷹村(たかむら)と板倉の娘の於蘭(おらん)の手を借りて
たくさんの人たちを無事お引越しさせることができるのか?
「引っ越し大名!」ネタバレ感想
時代劇に疎い私でもすごく楽しめて、最後には涙が……
そんな「引っ越し大名!」は見所がたくさんありました!
鷹村と春之介の友情にキュンと来る!
幼馴染の鷹村(高橋一生)は藩の御刀番としてバリバリ表舞台で活躍しているのに対して、かび臭い古書に埋もれて毎日引きこもって過ごす春之介(星野源)。
暗い半地下みたいな部屋は本がいっぱいで、春之介の周りには本が散乱しているように見えますが、どこに何があるかは全て春之介の頭の中に入っていたんですよね。
勉強熱心な武士の山里が現れるとリクエストされた本に加えておすすめの本まで追加して差し出す「おもてなし」精神!
「引越しを誰が仕切るか」と話し合うシーンはまるで、今でいう会社の部課長が集まる会議みたいな感じでした。
そこで鷹村が春之介を推薦!
(それは困るだろう〜)
嫌がる春之介に
知識や知恵のある春之介と力や刀の技術がある自分が組んだら最強じゃないか
というシーンがありました。
最初から、自分も春之介だけに押し付けるつもりはなく、お国の一大事に1番良い方法を考えた結果が春之介を引越し奉行におくということだったんですね。
最初から最後まで
鷹村は春之介の味方であり頼りになる相棒。
そんな鷹村がいたからこそ、春之介は無理難題に向き合えたんだと思いました。
於蘭がかっこよすぎた!ゴールを見失わない影のリーダー
亡くなったお父さんは前の引越し奉行だったという於蘭(高畑充希)。
お父さんの功績は全て勘定奉行が自分のものとしてしまって、お父さんはぞんざいに扱われて、亡くなった今はとても小さく質素なお墓の下に眠っていました。
最初、春之介が於蘭のもとを訪れた際には藩の上役のせいでお父さんがひどい目にあったという辛い思いにより話を聞くことも拒否。
そんな於蘭が馬で颯爽と姫路城に乗り込んで来るシーン、かっこよかったです!
過去にとらわれず、目的(国替え)のために自分ができることを冷静に判断して行動している姿は
「こんな上司がいい〜!!」
と多くの人が思うんじゃないかな、と感じました。
- 一人一人の意見を聞いて寄り添ってくれる「春之介」
- メンタル強くてブレない「於蘭」
- グイグイ引っ張ってくれてユーモアもある「鷹村」
どの上司も信頼できそうですよね!
劇中で、毎日引越しの準備や体力づくりなどで頑張っている武士を笑顔で労ったり、時には手を触ってみたりという女性らしさを前面に出すシーンがありましたが、それも全て目的を遂行するため!
男前だな〜!!
これはみんな惚れるよね!!
「見切りました!」春之介が振り切ってからの行動力がカッコいい!
引越しの荷物を少しでも減らすために家財道具を捨てさせる、というやり方に陰口を叩かれているのを聞いてしまうシーン。
自分では行動しないで人に丸投げ、その上文句ばっかりいうなんて、身近にいる嫌な上司を思い出した人も多いんじゃないでしょうか……。
最初は、引越し奉行として人々にお達しを伝えるたびにびくびく、しかも陰口まで叩かれたら心が折れそうなものですが、そこで負けないのが春之介!
自分の大事にしていた本の数々の内容を全て頭の中に叩き込んだ上で燃やしてしまってからは一皮むけて、ぐっと頼もしくなりましたね。
お役御免通告、そして春之介からの手紙
15万石から7万石になる以上、リストラは避けては通れません。
でも、ただのリストラではなく農民として姫路に残りいつの日かまた武士に……という春之介の戦略でした。
と言われても……
武士から農民になれって突然言われて
「はいわかりました!」
とは行かないですよね。
自分がやりたい仕事から、急に全く興味がない仕事に一方的に配置換えされたら、やる気がなくなっちゃうのは今も昔も同じ。
春之介は残していく人たちに仕事を与えて、姫路を離れてからも藩の様子を手紙で常に送って気を配っていました。
この、農民となった人たちに手紙を書き続けるというシーンは、星野源さんからの提案で追加されたそう。
手紙が届くから、信じて待つことができたし、待っている間にいざとなったら40人は残ってこの田畑を引き続き守っていこうという計画も立てられたんだろうな……と、思えた重要なシーンでした。
本当は違うらしい!姫路から日田への国替えの理由
劇中では、姫路藩主の松平直矩が江戸に赴いた際に、幕府の小納戸役(将軍の身の回りの世話をする)から受けた夜のお誘いを断ったことが原因になっていました。
実際に、直矩は美しいお殿様だったと言われてはいますが……
本当?!
って思いますよね。実際はもちろんそんな理由ではなく
姫路から日田への国替えは、松平の本家である松平光長が藩主だった越後国高田藩で起こった御家騒動がきっかけで、直矩の姫路藩も罰を受けたことによる減封だったんです。
ミュージカルのような楽しさがいい!
大変なお引越しを乗り越えるには「歌で心を一つに」することが大事!
と、劇中度々登場するのが「引っ越し唄」です。
狂言師の野村萬斎さんの振り付けが楽しく、若干下ネタ入ってるところも笑えました。まるでミュージカル映画みたい!
星野源さんと高畑充希さんが歌うシーンは、以前NHKで放送された「おげんさんといっしょ」のようでしたね。
時代劇ならではの殺陣のシーンでドキドキハラハラ
武士の時代の話ですが、あまり刀や血が出ないまま物語が進みます。(前半に春之介が切腹の危機になることはありましたが)
そんな中で後半に登場するのが、殺陣のシーン。
待ってました!と言わんばかりに(実際言ってたかも)鷹村がバッサバッサと斬りまくるシーンは、バンバン人が斬られてはいるけれど血が出るとかはなくて、爽快な感じでした。
殿様が鷹村に使うことを許可した御手杵(おてぎね)は、「天下三槍」の一つでさやが手杵の形をしているのが特徴の槍。
鷹村と御手杵さんの…
\ メイキング映像解禁‼️ /大きくて重たい #御手杵 の槍を、#高橋一生 さんが振り回します!!
ぜひこのシーンは大きなスクリーンで、迫力を感じながら&楽しみながらご覧いただけたら嬉しいです🙇
週末、劇場へ観に行ってくださいね🐌#引っ越し大名! pic.twitter.com/fO0LN694v5— 映画『引っ越し大名!』 (@hikkoshi_movie) September 6, 2019
本来は、戦場で自分の馬の目印として使ったり、殿が入城する際に門の前で持ち上げて回したり……というような使い方をするものなんだそう。
めちゃめちゃ長い槍をブンブン回す鷹村、かっこよかったです〜♪
プロポーズのシーンがほっこりかわいい
父を亡くしてすでに藩との繋がりがなくなっている於蘭はこのままではいっしょにお引越しができません。
多くの人の家財道具を捨てたり、リストラもしてきた春之介は、それでも於蘭といっしょにいたい!という気持ちがダダ漏れてしまいます。
結局於蘭の方からのプロポーズになりましたが、私は春之介が「いっしょになろう」って言ってくれるのかな〜と思ってた私はちょっとびっくりでした。
春之介の
「不束者ですがどうぞよろしくお願いします」
はかわいかったしクスッと笑えてよかったし、あれはあれで良かったのかな。
「昔の話」じゃない。今に通じる人間ドラマ
- 家財道具を減らす
- 人を減らす
- お金を工面する
一つだけでも大変そうな仕事、全てにまっすぐ向き合い
自分からの目線だけでなく、そこにいる人たちに寄り添ってみんなの幸せを考えて行動する春之介は、とってもかっこいい!
無理難題を押し付けられて、嘘みたいなラッキーでなぜかうまいこといく……
というのではなく
痛みもあるけれど、苦難を努力とアイデアで乗り切るというところがリアリティが合って面白かったです。
時代劇を見慣れていなくても、丁寧にナレーションが入っているのでわかりやすく、深刻な状態だけどコメディータッチで表現されているから笑えるポイントもたくさんあります。
だからこそ、なんども見直したいと思える作品でした!
